【mocopi】モーションキャプチャーをテクニカルディレクターが一気にレビューしてみた:第一回
BASSDRUMによるモーションキャプチャレビュー第一回を飾るのは今年頭にsonyから発売され一躍話題となったmocopi!
このシリーズでは、以下の項目をベースにテクニカルディレクターの視点でレビューしていきます!
それではどうぞ!
※今回はiPhone13 proで検証を行いました。
※本記事の情報は全て2023年4月現在のものです。
製品概要
小型かつ軽量な加速度×ジャイロセンサー6つでフルボディトラッキングが出来る慣性式モバイルモーションキャプチャシステム。
スマホとmocopiがあれば屋内・屋外を問わず全身モーションキャプチャが可能。
通常のモーションキャプチャシステムと異なり、肘・肩・股関節などのデータを取得しておらず、そういった関節部分はソニー独自のディープラーニングベースのアルゴリズムにより推測することで対応している。
価格:49,500円(税込)
使い方
総合評価
精度 : ★★★☆☆
遅延 : ★★★☆☆
手軽さ : ★★★★★
他ソフトとの連携 :★★★★☆
価格 : ★★★★★
長所
モーションキャプチャデバイス/システムという枠組みで見るとかなり安価。
センサーの数も6つと少なく、セットアップが手軽。
スーツの着用がいらず、センサーそのものも小型のため屋外使用にあたっての抵抗感が控えめ。
公式プラグインが比較的充実している。(Unity・MotionBuilder・RokokoStudio・バーチャルモーションキャプチャなど)
アップデートに積極的かつこまめであり、「ARモード」のような新機能から不具合・UXの改善など内容もユーザーに寄り添っている印象を受ける。
短所
若干精度に欠ける。ただカジュアルに使用したいレベルとしては十二分。
若干遅延がある。ただこちらもリアルタイム使用において不快感を感じるレベルではない。
踏み込んだ部分でのサポートが少し弱い。(ライセンス関連・技術仕様関連)
若干の誤差が溜まっていくため、頻繁なキャリブレーションが必要。
(公式からは「映像用途レベルであれば15分に一度」)
参照 ↓
「モーションキャプチャを取り敢えず始めてみたい」「簡易的かつ安価にモーションキャプチャをさくっとやりたい」「屋外でモーション収録したい」といった方にオススメな製品と言えるのではないでしょうか?
また上記に加えて、4月のアップデートで「AR背景モード」が追加され、VRoidHubの連携対応と併せて使用することでモーションキャプチャアプリの枠を超えた撮影アプリとして使用が可能にもなったので、単純に自身のVRMで撮影を行いたい方も是非インストールしてみてはいかがでしょうか!
以下各項目の詳細です!
精度:★★★☆☆
今回検証した動きは以下となります。
バンザイ
腕組み
ボックスステップ
ジャンプ
床座り(あぐら)
床座り(体育座り)
床座り(正座)
椅子座り(立ちから座り、座りから立ちまで)
肘・肩にセンサーをつけていない関係上か、肩回りの動きが少し弱い印象があります。
また膝にセンサーをつけていない関係上か、椅子に座っているモーションなどは補正がかかって段々立ち姿に移っていく印象があります。(中腰も恐らく苦手)
ジャンプは比較的問題なく反映されています。多少足が埋まっても元の高さに戻ってきています。(逆に言えば階段を上るなどは難しそう)足をベースに接地補正がかかっているような印象を受けました。
総合的に見て、モーション部分だけを見ると極端に精度が良いとは言い難いですが、センサーの少なさ・場所/スペースを選ばない点を鑑みると十二分なレベルではないかと思われます。
適切なキャリブレーションにより精度も上げられるので、本記事の動画より幾分か精度の上昇も期待出来るでしょう。
遅延:★★★☆☆
約200mS(約0.2秒)
明確な遅延を感じるという程ではありませんが、若干体がキャプチャ側に引っ張られるような感覚があります。
通信環境は勿論、スマートフォンのスペックもかなり影響与えるようです。 (対応外スマートフォンの場合は数秒単位で遅延する場合もあり)
手軽さ:★★★★★
必要設備:
スマートフォン(mocopiアプリインストール済)
mocopi(QM-SS1×6)
最低限必要なスペース:一歩踏み出せる程度の広さ
必要人数(アクター含め):1名
セットアップにかかる時間(モーションキャプチャが可能になるまでの時間):
センサー装着・リンク:5分
キャリブレーション:15秒
装着するセンサーの数が最小限に留まっていること、センサー装着にあたって専用スーツの着用が必要無いこと、キャプチャに場所を選ばないこと、キャリブレーションが数十秒で完了することなど、手軽さという点においてこれ以上ない程素晴らしい製品です。
センサー装着にあたっても、専用のスマートフォンアプリ側で全てガイドしてくれるため何も調べる必要なくスムーズに準備が出来ます。
他ソフトとの連携:★★★★☆
Sony公式対応ソフト:
VRoidHub(VRoidHubのモデルをネットワーク経由で呼び出してmocopiアプリ上で使用可能) ※現在はiOS版のみ / 近日中にAndroid版対応。
以上に加えて、mocopiセンサーを直接制御するスマートフォン用アプリケーション開発SDKが近日公開予定のようです。
mocopiセンサーとのペアリング設定や接続処理、キャリブレーション等の機能が提供されるとのこと。
mocopiアプリからの通信自体はudpで行われているため、上記に含まれていないもの(UnrealEngine等)については自身でプラグインを開発することで対応させることが可能です。
例) VRM4U(UnrealEngine向け mocopi非公式プラグイン)
sonyから公開されている技術仕様はデータの送信方式やスケルトン定義に留まっており、mocopiアプリからストリーミングされている通信パケットの仕様までは公開されていませんが弊社森岡が解析を行った技術記事がありますので是非ご覧ください。
(VRC向けに送信されているOSCデータの取得も可能ですが、制御点数が少ないようです)
価格:★★★★★
購入価格:49,500円(税込)
ランニングコスト:基本無し
(mocopiSDKの商用・営利目的での利用の場合は商用ライセンス契約が必要になる場合あり)
何十万、何百万が一般的な価格となっているモーションキャプチャデバイスというジャンルという点で見ると、かなり安価な部類だと言えます。
商用ライセンス契約については問い合わせても「準備中」という返信がある状態らしく、価格・線引きは今だ明確ではないようです。
以上第一回モーションキャプチャレビューは「mocopi」をピックアップしました!
発売当初に収録された、弊社森岡・長谷川によるmocopiレビュー動画も是非ご覧ください!
mocopi の購入はこちらから!
次回は「Move.ai」をレビューします!お楽しみに!