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BASSDRUMメンバーへのインタビューや本人による記事、BASSDRUMメンバーから業界のプロフェッショナルに向けたインタビューを通じて、彼らの得意分野やビジョン、人柄を紹介。…
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#百済観音

インタビュー「3DCG制作のツール」【8K文化財プロジェクトの制作現場:スピンオフvol.03】

— 株式会社アフタイメージを起業してからの仕事は? 成田さん 最初の頃はね、会社を作ったはいいものの、あまり自分たちのスキルを活かせるような仕事がなかなか無かったです。そんなとき、登場したばかりだったフォトグラメトリー(写真計測)という技術を趣味でやってみて、「これマッピングに使えるね」と。それでいくつかの案件を手掛けました。 NHKホールのリアリティーキャプチャーとか。今は新しくなったのですが、当時は歴史が古いホールで、3DのCADデータなんかは存在しなかったんです。

インタビュー「起業、また起業」【8K文化財プロジェクトの制作現場:スピンオフvol.02】

自分の会社だけど、自分だけ浮いていた 成田さん 起業する少し前に、アメリカによく行っていました。フリーランスだった頃は、半年ぐらい働いたら、1ヵ月ぐらい休む、ということができたので。 当時のアメリカはCG最前線で、いろんなイベントを開催していたんです。有名なのは世界最大のCGカンファレンス「SIGGRAPH(シーグラフ)」ですが、これは8月に開かれるんですよね。だから、7月に渡米して、ボロくて安いホテルに泊まって、バックパッカーをしながら遊んで。8月に入ってSIGGRAPH

インタビュー「CGデザイナーになるまで」【8K文化財プロジェクトの制作現場:スピンオフvol.01】

文化財を3D空間上に再現するという取り組みが行われています。撮影・計測したデータから3Dメッシュを作成し、テクスチャーを作成。コンテンツとして実装します。この作業の主要部分を担っているのは、一人のCGデザイナーです。成田修一。株式会社アフタイメージ 代表取締役。「ストーリーのあるものが好きだった」という彼が、文化財の3DCGデザインを担うようになるまで、どのような変遷があったのでしょうか。アフタイメージ社の高嶋さんと共に、バックグラウンドから実作業での苦労まで、たっぷりと語っ

文化財を3DCG化する職人 【8K文化財プロジェクトの制作現場:後篇】

見えない場所も作る 高嶋 成田さんとしてCG化が一番大変だった文化財は、どの作品でしょうか? 成田さん 甲冑です。小札鎧(こざねよろい)と呼ばれる日本の伝統的な甲冑なのですが、何千枚もの小札プレートが組紐(くみひも)で繋がっているので、これを再現するのに相当苦労しました。彫金パーツも多くて、とにかく時間がかかりました。 高嶋 この甲冑は、制作期間としてはどのぐらいかかったのでしょうか? 成田さん 4ヵ月かかりました。入り組んでいるものは本当に作るのが大変です。3DCGを

文化財を3DCG化する職人 【8K文化財プロジェクトの制作現場:前篇】

文化財を3D空間上で再現するという取り組みが行われています。 NHK奈良放送局で6月18日に開催されたデジタル調査会では、国宝「救世観音像」が8K画質で3DCG化されたモデルが公開され、その精密さに、研究者らから驚きの声が上がりました。 NHKと東京国立博物館が共同で取り組んでいる「8K文化財プロジェクト」は、文化財を最新テクノロジーで3DCGする試みです。国宝や重要文化財といった、普段は滅多に見ることのできないものを3DCGにすることで、そのものの質感や、細部のあしらいな