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包括的な視点から施設の体験を実現|企画段階から並走するテクニカルディレクション 【OPEN HUB for Smart World】

NTTコミュニケーションズ株式会社は2022年2月、新たなビジネス創出の場として、最先端技術を備えたワークプレイス「OPEN HUB Park」を大手町に開設しました。この施設は事業共創プログラム「OPEN HUB for Smart World」の中心的な活動拠点として人々や企業との接点となり、そこから生まれる多くのアイデアを社会実装していくための出発点となります。BASSDRUMはテクニカルディレクターの立場から技術的な知見を提供し、企画・検証・実装に並走しました。



BASSDRUMが行ったこと

「OPEN HUB Park」開設の際に設置されたデジタルコンテンツは以下の4種です。

OPEN HUB Monoliths

エントランス空間を囲むように立ち並ぶ7台の等身大ディスプレイ。来館予約システムと連携してグラフィックを生成。

OPEN HUB Visualizer

共創する企業間で保有するデータを収集・蓄積・分析し、ビジュアライズする巨大LEDディスプレイ。

OPEN HUB Window

離れた場所の共創パートナーと同じ空間にいるかのようにつながれる、等身大のサイネージ。

OPEN HUB Robot Visitors

複数人でログインし、ビデオチャットで会話をしながら「OPEN HUB Park」を巡ることができるロボット。

これら4種のデジタルコンテンツに加え、顧客管理システムとコンテンツとの連携部分の設計をしました。
来館者の動きを考慮した情報設計にはじまり、ディスプレイやセンサー、システムの繋ぎ込みまで、あらゆる要素を視野に入れた包括的なディレクションを行いました。


1. 技術視点から企画に並走する

企画段階では、コンセプトや理想のUX(ユーザー体験)を実現するため、テクニカルディレクターの立場から、技術調査と情報整理を行いました。複数のデジタルコンテンツを持つ施設では、それぞれの完成度はもちろん、コンテンツとコンテンツとをつなぐ人間の動きや、システム連携、来館者の認知を考慮したスムーズな導線設計など、複合的な視点による設計が体験の質を左右します。
そこで、企画段階の検証では以下の3点に注力しました。

  1. NTTグループの資産である既存システムをどう活用できるか

  2. 来館者の情報をコンテンツにどう実装するか

  3. 施設スタッフのアテンドの動きを考慮した管理システムはどのようなものか

まず、NTTグループが保有する数多くの技術資産について、企画にどう活用できるかの技術調査(フィジビリティチェック)をしました。NTTグループはAI映像解析ソリューションや暗号計算の技術など、グループ企業間で多様な資産を保有しています。それらの技術的な仕様を詳らかにすることで入場ゲートとの連携方法を検討したり、映像コンテンツにするための紐解きを行ったりしました。このように、領域の異なる技術的なバックボーンを持つサービスを、いかにして心地よい体験に昇華させるのかを総合的に判断できるのは、BASSDRUMが幅広い知見を持っているためです。
来館者の情報とコンテンツとの紐付けにおいては、企画の意図を汲みながら、ユーザーの情報を適切にコンテンツに反映できるようにしました。そして、施設スタッフに実際の動きをヒアリングしつつ、管理画面に必要な要素や構成を決定しました。それにより、アテンドするスタッフが最適なタイミングでコンテンツを制御できるようになりました。

管理画面の初期設計図


2. 既存技術の活用とシステム設計

企画と技術との紐付けができた段階でシステム設計に着手しました。必要な機能から逆算し、シームレスな体験を実現するための連携方法を模索。ステークホルダーと対話を重ね、既存技術が企画に適合しない箇所は代替手法を提案するなど、最適解を探究し続けました。
来館者に合わせたパーソナライズのしくみを設計する際には、顧客管理システムと、コンテンツ側のシステムとの繋ぎ込みも実施。既存の技術を可能な限り活用しながらも、体験としてはなめらかなものになるよう、細部の検証と包括的な視点でのチェックを繰り返しました。

来館の回数に合わせたフロー図


3. 包括的な視点からの実装

実装段階では、センサーやLEDパネル、映像送出機器など、さまざまな技術領域を統合しながらシステム全体を構築していきました。複数のデジタルコンテンツを扱う施設では、ひとつのコンテンツに一人の担当者が割り当てられるケースは少なくありません。しかし本案件では全領域を一人のテクニカルディレクターが担当することで、施設全体として破綻のないシステムを実装できました。
実装段階においても、テクニカルディレクターが見るべき項目は多くあります。企画のフィジビリティチェックにはじまり、コンテンツと技術の紐付け、LEDパネルの施工時および各種映像機材を導入する際のディレクション、サーバー/インフラ/ネットワーク管理チームとの各種調整、など。このように、ハードウェア・ソフトウェアにまたがる多様な技術領域において、手と頭どちらも動かせることがBASSDRUMの強みです。こうしたスキルのある人材が制作の序盤から実装まで一貫して並走することで、理想のユーザー体験を実現させることができました。

施設全体の機器構成案


THE CLIENT AND OUR TEAM

Client: NTTコミュニケーションズ

Strategy: KESIKI
Planning / Production: Whatever

Exterior Design for OPEN HUB Window-Exterior : NOIZ
Exterior Production for OPEN HUB Window-Exterior : 丹青社
Tech Director for all projects: 村上 悠馬 / 泉田 隆介 / 高嶋 一成
Tech Directors for OPEN HUB Monoliths: 村山 健
Prototype Developer for OPEN HUB Monoliths: 中田 拓馬
Producer for OPEN HUB Monoliths: 岡田 敦子
Visual Director and Programmer for OPEN HUB Visualizer - Smart City: 林 久純
Tech Director and Programmer for OPEN HUB Robot Visitors: 渡島 健太


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