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視聴者を技術の深海にいざなう「第5回テクニカルディレクター公開総会」直前鼎談

5/28(金)に迫った「第5回テクニカルディレクター公開総会」。司会者や聞き手有志が予習も兼ねて、どんな会になるのかなーという展望について喋ってみました。

鼎談参加者:

セッション1 聞き手:公文 悠人(BASSDRUM テクニカルディレクター)

1984年福岡生まれ。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修了後、2011年より博報堂アイスタジオに在籍し、3年程サーバーサイドのエンジニアとしてコーポレート/キャンペーン/コミュニティーサイト構築を経験。2014年からは、R&D部署にてハードウェアエンジニアとして、様々なプロダクト開発や屋外インスタレーションの制作に携わる。IPA未踏IT人材発掘·育成事業スーパークリエータ(2009年)。2018年9月より、BASSDRUMに参画。
セッション3 聞き手:森岡 東洋志(BASSDRUM テクニカルディレクター、Tech Director's Association 代表)

1981年生まれ。東京工芸大学博士課程満期退学。工学修士。メーカー勤務を経て、2014年からワントゥーテンデザインにてIoTデバイスの開発やスマートフォンアプリのSDK開発、インスタレーションの開発に携わる。2015年、プロトタイピングに特化したワントゥーテンドライブを設立し、CTOとしてメーカーとの新製品開発やテクノロジーを使ったエンターテイメントの開発を行う。2018年、本体ワントゥーテンのチーフマネージャーに。2020年に独立し、BASSDRUMに参画。大阪芸術大学および京都芸術大学にて非常勤講師も務める。
司会進行担当:清水 幹太(BASSDRUM テクニカルディレクター)

東京都生まれ。東京大学法学部中退。バーテンダー・トロンボーン吹き・DTPオペレーター・デザイナーなどを経て、独学でプログラムを学んでプログラマーに。2005年12月より株式会社イメージソース/ノングリッドに参加し、本格的にインタラクティブ制作に転身、クリエイティブ・ディレクター / テクニカル・ディレクターとしてウェブサービス、システム構築から体験展示まで様々なフィールドに渡るコンテンツ企画・制作に関わる。2011年4月より株式会社PARTYチーフ・テクノロジー・オフィサーに就任。2013年9月、PARTY NYを設立。2018年、テクニカルディレクター・コレクティブ「BASSDRUM」を設立。

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清水:おもむろに話し始めますが、5/28(金)に、恒例の「テクニカルディレクター公開総会」が開催されます。
いつもながら、そこそこ視聴者を置いてきぼりにするマニアックな情報共有が行われる場になると思うのですが、前回はXR機材の話が非常に盛り上がりましたよね。
確か公文さんは入っていたように思うのですが。

公文:入っていました。
今回のセッション1でも、ゲストの藤本さんにかなりハードコアなお話をお伺いしようと思っております。

セッション1:パフォーマンス×テクノロジーの裏側
藤本 実(mplusplus株式会社)

聞き手:公文 悠人(BASSDRUM) / 後藤 祐介(ハードウェアエンジニア・プロダクトデザイナー

人間によるパフォーマンスとテクノロジーの融合は、様々なアプローチで試行されてきました。挑戦的なステージの裏側には、かつてないデバイスの開発・量産や運用、数えきれないトライアンドエラーの中で生まれた知見が隠れています。今回は様々なデジタルパフォーマンスアートを手掛けるmplusplusの藤本実さんをお迎えし、お話をうかがいます。

清水:公開総会のポイントのひとつに、話したくてもなかなか話せないと思う話を存分にしてもらう、というのがあります。

森岡:藤本さんはLDHのアーティストさんの演出が多く、マスに向けたキャッチーな事例が多い一方、あまり技術的な話をされるイメージがないので、そういう意味では、なかなか聞けない話が聞けるのではないかと思います。

清水:藤本さんご自身がダンサーさんでいらっしゃるのですよね?

公文:はいそうです。

清水:すごい。なんというか、技術ダンサーということですね。
本人がそう呼ばれるのが嫌な可能性はあるかもしれませんが。

公文:ダンススーツを光らせるのは、自分の欲求から来たものだと思います。

清水:あー。そういうのはよくわかります。
私はトロンボーンを演奏するのですが、トロンボーンを光らせたくなったことはありますし、実際LEDを貼ったこともありますね。
ロボットアームでトロンボーン演奏したりとか。
そういう、人生や生活における掛け合わせで新しい何かが生まれるというのは、とてもよくあることなのかもしれません。

森岡:エンジニアでダンスや音楽やっている人は結構いる印象です。
楽器の練習とプログラミングが似てるからじゃないか、という話を聞いたことがあります。

公文:音楽をやってる人がつくるモーショングラフィックスなどは気持ち良いものが多いな、と思っていました。

清水:ああー。音楽やっている人って、確かにタイムラインの感覚を持っている感じはしますよね。
一方でプログラミングって、反復的な作業を自動化して楽をするような、楽するためのショートカットみたいな側面もあるので、私なんかプログラミングに関して「あー、これ、練習して熟練しなくてもいいから楽だな」という部分もあったり。

しかし何はともあれ、拡大解釈ですが、これは今流行りの「デジタルトランスフォーメーション」の話だなあと思います。
○○ ✕ テクノロジー、みたいな話。○○のデジタル化、というか。
ダンスパフォーマンスのデジタルトランスフォーメーション、なんですかね。
そう考えると、まだ世の中にはいろいろ手を付けられる領域がたくさんあると思います。各々のテクノロジストが個人的に愛する領域にテクノロジーを注入していく世界というか。

森岡:確かに。そういう風に言い換えることはできそうですね。
セッション3もまさしくデジタルトランスフォーメーションの話ですね。

セッション3:オープンデータをつくる・オープンデータで遊ぶ
内山 裕弥(国土交通省)
藤原 龍(株式会社ホロラボ)


聞き手:森岡 東洋志(BASSDRUM)

都市経営のデジタルトランスフォーメーションを進めるため発足された、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU(プラトー)」。誰しもが利用可能なオープンデータはどのように生まれ、今後どのように活用されていくのか?
PLATEAUを推進する国土交通省の内山 裕弥さんと、そのオープンデータを活用し、建築にまつわるビジュアル表現やAR/MR/VRへの活用を追求されている藤原 龍さんにお話をうかがいます。

清水:これはどういった話が聞けるのですか?

森岡:最近、国土交通省が主導して東京都23区の3Dデータを中心にさまざまな公共のデータをオープンにして公開しはじめているのですが、クリエイターたちがそのデータを使った作品をSNSで発表する、という状況が生まれています。
ツイッターなどで#PLEATAU で検索すると作品がいっぱい出てきて、先日はTVでも取り上げられていました。

公文:この盛り上がりはすごいですよね。

森岡:SNSに投稿された作品が話題を呼んでいますが、このコンテンツの重要なキーになっているのが国土交通省が公開したリアルな東京の3Dデータです。
このPLEATAUの盛り上がりについて、オープンデータを作った側と使う側、つまり国交省の方とクリエイター側の両者からお話を聞いてみる、という企画です。

清水:これって3Dデータ以外のデータも公開されていくんですか?

森岡:今このデータが上がっているのはG空間情報センターというところなのですが、3D以外にも空間に紐づく様々な情報がアップロードされています。
例えばCSV形式のスポーツ施設や公園の位置情報などですね。

清水:都市のデータ公開といえば、私が住んでいるニューヨークはとても進んでいて、これも位置情報に基づいています。タクシーの乗降データ、警察の通報データ、建物の築年数など、いろんなデータが公開され続けていて、素晴らしいのです。
ニューヨークでは、データを使ってクリエイターが大喜利をした先に、民間のサービスベンダーが市民に役立つサービスの中でこういったデータを利用しているところがあって、東京もそういう未来につながると良いなあと思ったりします。

公文:世界から見ると、やはり日本はオープンデータ的には後進国なんですかね。

森岡:そういう話もお伺いできると良いですね。ヘルシンキをはじめとして、3Dデータを公開している都市は結構ある。
オープンデータのようなネタがあったとき、遊ぶエンジニアの数は日本は決して少なくはないと思うので、こういう動きは積極的に応援して、自分も参加していきたいですね。
このへんの話を、実際にプロジェクトに携わる方々に技術屋視点でお聞きできるのは貴重な機会ですね。
プロジェクトマネジメントやコンサルタントといった視点でも面白いものになるんじゃないかと思います。
国の主導でオープンデータを作って公開していく、というある種理想的な動きがどのようにして発生して遂行されているのかを知れる良いモデルケースになる気がします。

公文:どんな活用方法を想定して、どんな未来を期待しているのか。その上できっかけや制作過程とか聞いてみたいですね。

清水:ニューヨーク在住の私としては、早起きして司会は大変だなあ、とぐったりしていたところもあるのですが、だんだん楽しみになってきました。
あとは、技術界隈のタモリ倶楽部を目指す公開総会にぴったりのセッション2ですね。技術者が展示現場で変な写真ばかり撮ってくる、みたいな話がきっかけなんですよね?

セッション2:技術者目線の「ここがすごい!」展示
久我 尚美(株式会社博展)
泉田 隆介(マニュファクチュア / BASSDRUM)


聞き手:道久 好子(Tech Director's Association オーガナイザー)

世の中のさまざまな展示は、コンテンツそのものに限らず、施工や空間演出などの工夫がそのクオリティを大きく左右します。イベントや展示会ブースのデジタルコンテンツ制作や体験型コンテンツのソフトウェア・ハードウェア制作を手掛けるお二人の視点で「この展示のここがすごい!」というポイントを発掘します。

森岡:そうなんです。技術者が美術の展示に行くと、展示物の端っこや裏側の写真ばかりグーグルフォトに上げている、と知ったのが発端ですね。

公文:展示会に行くたびに、センサーやプロジェクターの位置を探しちゃいますよね。どうやって隠してるのか、とか。

森岡:あとは配線の始末のし方とか。僕は珍しい吊り金具を見ると写真を撮ってしまいます。

公文:ですです(笑)。展示者の知恵の塊や人となりが見えます。

清水:これは本当にわかる(笑)。子供をアミューズメント施設に連れて行っても、センサーを探して椅子の下を覗いてしまったりとかする。
職業病といえば職業病なんでしょうけれど、自分はこの仕事を愛していて離れられないのだなあという、カルマのようなものを感じてしまいます。

公文:家族と展示にいくと大体白い目で見られます。

清水:わかる。

森岡:クリエイターさんのなかには、「いやいや、展示物みてよ!」って思う方もいらっしゃるでしょうしね。
たしかに職業病なのかもしれませんが、展示物をスムーズに見てもらうための様々な処理や展示の工夫にも感動してしまう側面はどうしてもありますよね、我々としては。

清水:逆に、「あの展示ってどこそこに○○センサー仕込んでるでしょう?」なんて指摘すると、「わかってくれる人がいた・・・!」なんて握手を求められることもあります(笑)。

森岡:そっちの反応いただけるとめっちゃ嬉しいですね(笑)。

公文:大げさですが、裏側の開発のストーリーが見えてくる、すごく良い切り口のトピックだと思います。

清水:ある種、今回のセッション2は、そんな「わかってくれる人」同士がどんどん深みに入っていきそうな感じですね。前回のXR機材のセッションも、ものすごい深海まで話が及んで帰ってこれなくなってましたけど(笑)。

森岡:深海(笑)。

公文:技術者同士で盛り上がりすぎて、視聴者を置いていきがち。

清水:いや、専門家がマニアックな話を繰り広げているのは、見ていて面白いですから。将棋の人たちが、「振り飛車がどうのこうの」とか語り合ってるの、全然わからないけど見ていて面白い。

森岡:深海に潜りながらも、面白がっているさまを面白がってもらえるようにしていけると良いですね。

清水:おっしゃるとおりかと思います。
そんなわけで、視聴者を技術の深海にいざなう、専門家観察イベント(笑)、テクニカルディレクター公開総会、明日5/28(金)19:00から下記サイトのリンクでご視聴いただけます。是非皆さま、まだまだ大変な世の中が続いていますが、深海を覗きにお越し頂ければ幸いです!

■ 第5回 テクニカルディレクター公開総会
日時:5月28日(金)19:00〜22:00(終了予定)

[Session 1] パフォーマンス×テクノロジーの裏側
藤本 実(mplusplus株式会社)
[Session 2]  技術者目線の「ここがすごい!」展示
久我 尚美(株式会社博展)、泉田 隆介(マニュファクチュア / BASSDRUM)
[Session 3] オープンデータをつくる・オープンデータで遊ぶ
内山 裕弥(国土交通省)、藤原 龍(株式会社ホロラボ)

配信先:Youtube Live / Facebook Live
視聴料:無料
主催:Technical Director's Association / BASSDRUM


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