見出し画像

【Plask】モーションキャプチャーをテクニカルディレクターが一気にレビューしてみた:第八回 後編

こんにちは、BASSDRUMアソシエイトテクニカルディレクターの張です。
前編ではPlaskを総合的な観点からレビューしました。

後編ではより詳細に見ていきます! それではどうぞ!

※本記事の情報は全て2023年10月現在のものです。
(Move.aiの検証動画と同じ動画素材を利用しました。)
(検証日:2023年10月6日)



総合評価

精度

★★☆☆☆

検証環境:
・PC(NVIDIIA GeForce RTX3070Ti Laptop)

今回検証した動きは以下となります。
・バンザイ
・腕組み
・ジャンプ
・床座り(あぐら)
・床座り(体育座り)
・床座り(正座)
・椅子座り(立ちから座り、座りから立ちまで)

まず検証する映像をご覧ください。

検証動画の通り、ほかのモーションキャプチャーと比較して、精度が高くはありません。このままで映像制作に利用するのは難しいかもしれません。
ノイズが分かりやすく存在しており、映像に映らないポーズ(あぐら・体育座りなど)を適切に抽出できません。
腕のポーズも正確に反映できていない一方、カメラに収まっている他のポーズは、利用可能な精度で出力されます。

Plaskのワークフローにおいて、事前のキャリブレーションが省略されたことが、精度の低下につながっていると考えています。
また、今回の検証用動画の解像度がかなり低かった(512x288px)上に、背景が煩雑なのため、モーションの抽出結果がうまくいかなかったと思います。
下の動画のように、グリーンバックなど単色の背景を使用し、解像度を720p以上にすることで、精度を向上させることができるでしょう。


遅延

評価なし

記事を書いた時点でのMove.aiと同じように、リアルタイムでの利用はできません。


手軽さ

★★★★★

アカウントにログインしてからすぐに操作が可能です。
他のスーツ式モーションキャプチャーと比較して、かなり手軽な設備です。
カメラの設置や複雑なキャリブレーションが不要なため、映像分析式モーションキャプチャーの中でも、操作が簡単です。

  • 必要設備

    • パソコン1台

      • インターネット接続が必要

      • 動画素材を事前用意しない場合、ウェブカメラが必要

    • 動画素材

      • ファイルフォーマット:mp4またはwebm

      • サイズ:500MB以下

      • 長さ:5 ~ 120秒

      • おすすめの解像度:720pまたは以上

  • 必要人数(アクター含め):1名

  • セットアップにかかる時間(モーションキャプチャが可能になるまでの時間)

    • 約1分

      • デバイスのセットアップ 1分

  • 最低限確保すべきスペース

    • カメラ内に全身を収めることができる範囲であればOK

動画の品質はモーションキャプチャの精度に影響を与えるため、公式のマニュアルを参照しながら収録しましょう。


他ソフトとの連携

評価なし

現時点でリアルタイムでの他ソフトとの連携はできません。
生成したモーションデータは、fbxファイルの形でアウトプットし、他ソフトウェアに利用することができます。


価格

★★★☆☆

  • 無料プラン

    • 毎月処理できるモーションの最大フレーム数は900フレーム

  • Proプラン

    • $140/月*1、または$600/年*2

    • 処理できるモーションの制限なし

    • 処理速度は無料プランより早い

    • 複数人の動きを収録することが可能

  • ラーンニングコスト:無し

  • 商用・営利目的での利用が可能

*1. 2023年10月24日現在、約20,950円
*2. 2023年10月24日現在、約89,785円

同じAI系モーションキャプチャーソリューションのMove.aiと比較して、Plaskの値段はやや高いでしょう。
$600/年の割引プランもありますが、リアルタイムで利用できないモーションキャプチャーとしてはやや高価のサービスです。
公式だけではなく、ユーザーからも充実したチュートリアルを公開しているので、ラーンニングコストはほぼゼロです。


その他

  • APIを提供しています。

    • APIを利用することで、ウェブサイトにアクセスせずに、ユーザーが提供した動画ファイルに対してモーションキャプチャを行い、作成したモーションファイルをダウンロードすることができます。

  • 前編で触れた画像のポーズをAIによってイラスト画像を生成する機能ですが、残念ながら、2023年9月15日をもって、サービスが停止しました。

    • ツイッター(現X)で「made with @plask_ai」を検索すると、Plaskユーザーがこの機能を利用して作った作品が多く出てきました。これらの投稿を見ると、Plaskで生成されたイラストは非常に表現力が高いことが分かります。実際のポーズを利用したため、人物の動きはかなり自然に見えます。このサービスが実用化されたら、イラスト業界に大きな影響を与えるでしょう。いつかサービスが再開すれば、皆さんぜひ試してみてください。


以上第八回モーションキャプチャレビューは「Plask」をピックアップしました!
モーションキャプチャレビューシリーズはここで最終回となります。これまでに紹介した製品の中で、気になるものや、試してみたいものを見つけましたか?もしこのシリーズを通して、モーションキャプチャーを試してみて、何か感想があれば、ぜひコメントで教えてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?