見出し画像

【Rokoko】モーションキャプチャーをテクニカルディレクターが一気にレビューしてみた:第六回 後編

こんにちは、BASSDRUMアソシエイトテクニカルディレクターの張です。
前編ではRokokoを総合的な観点からレビューしました。

後編ではより詳細に見ていきます! それではどうぞ!

※本記事の情報は全て2023年8月現在のものです。
(検証日:2023年6月15日)
(検証スーツ:Rokoko SMARTSUIT PRO)



総合評価

精度 :      ★★☆☆☆
遅延 :      ★★★☆☆
手軽さ :     ★★★★☆
他ソフトとの連携 :★★★★☆
価格 :      ★★★★☆

精度

★★☆☆☆

基本的に動きは間違いなくモデルに反映されます。
ただし、XSENSと同じように、スーツに仕込まれている各センサーが獲得するのは相対位置であるため、ドリフトは発生しやすいです。

検証環境
 ハードウェア:
  Smartsuit Pro
 ソフトウェア:
  Rokoko Studio Starter

今回検証した動きは以下となります。
・バンザイ
・腕組み
・ジャンプ
・床座り(あぐら)
・床座り(体育座り)
・床座り(正座)
・椅子座り(立ちから座り、座りから立ちまで)

まず検証する映像をご覧ください。

総合的に見て、リアルタイムでの利用は少々難しい印象です。
ただし、今回の検証では、着用したスーツが初代のSmartsuit Proであるため、若干精度が低下しています。現行版のSmartsuit Pro II と新しいファームウェアではドリフトや誤差が改善され、より高い精度でデータを取得できることが期待されます。

さらに、2023年6月15日には、新製品コイルプロが発表されました。
公式サイトによると、コイルプロとは、SmartglovesのEMF(電磁場)センサーデータを使用して手や指の絶対位置を確立し、それによって体のグローバル位置を推定する補正設備です。
スーツ(Smartsuit Pro II)のIMFセンサーデータと同時に利用することで、ドリフトとオクルージョンを克服することができます。
コイルプロの導入によって、Rokokoの精度をより上げることができるでしょう。


遅延

★★★☆☆

ほとんど遅延はありません。

手軽さ

★★★★☆

他のスーツ式モーションキャプチャーと比べて、かなり手軽な設備です。
設備の準備から、わずか10分程度で、モーションキャプチャーを利用可能な状態に整えます。
慣性センサーの相対位置を利用するため、スペースの確保は必要ありません。そのため、どんな場所でも比較的自由に収録できます

  • 必要設備:

    • スーツ(Smartsuit Pro II)

    • グローブ(Smartgloves)(手部動きをとる場合)

    • ソフトウェア(Rokoko Studio)

  • 最低限必要なスペース:なし

  • 必要人数(アクター含め):1人

  • セットアップにかかる時間:約8分

    • スーツのセットアップ:約5分

    • スーツの着装:約3分

    • キャリブレーション:約0.2分

RokokoはWiFi経由でPCに接続するため、最長100mの距離まで安定して位置情報を取得できます。
ただし、プロトコルの設定によって、PCのファイアウォールをオフにする必要がある可能性もあります。

他ソフトとの連携

★★★★☆

Rokoko StudioのStarter以外のプラン(Plus、Pro)の場合、公式の連携用プラグインがあります。プラグインを利用し、直接にデータを上記のソフトウェアにストリーミングしてリターゲットすることは可能です
ほぼ全部の主流なソフトウェアとの連携が対応しており、完璧だとは言えるのでしょうか。

公式対応ソフト:

各種プラグインは無料で提供されており、チュートリアル動画も提供されています。


価格

★★★★☆

ViconやMovella Xsensと比べると、Rokokoはかなり安価なモーションキャプチャースーツです。

  • フルパフォーマンスキャプチャーバンドル:485,000円

    • Smartsuit Pro II

    • Smartgloves

    • FaceCap Body Mount

    • Rokoko Studio Plusの一年間分のライセンス

    • Face Captureの一年間分のライセンス

  • フェースキャプチャーバンドル:95,000円

    • FaceCap Body Mount

    • Rokoko Studio Plusの一年間分のライセンス

    • Face Captureの一年間分のライセンス

別々で購入する場合の値段は以下です。

  • ハードウェア:

    • Smartsuit Pro II:280,000円

    • Smartgloves:210,000円

    • FaceCap Body Mount:15,000円

    • Coil Pro:280,000円*

  • ソフトウェア:

    • Rokoko Studio

      • Starter:無料

      • Plus:20USD/月

      • Pro:50USD/月

      • Enterprise:要相談

    • Face Capture:40USD/月

*2023年8月時点で、Coil Proはまだ未発売です。

Rokoko Studioには無料で利用できるプラン(Starter)があります。一般的な収録ができますが、他ソフトとの連携が利用不可のことという制限もあります。それゆえに、リアルタイムで利用したい方には有料プランがオススメです。

  • ランニングコスト:なし


その他

  • スーツとグローブのサイズはS、M、L、XLの4つから選ぶことができます。以下の表をご参照ください。

スーツのサイズ表
グローブのサイズ表
  • スマホアプリ(iOS)の利用も可能です。アプリを通して、顔の収録、動きの確認や、収録の開始などの操作ができます。

  • Rokoko Videoという無料なビデオ分析サービスが提供されています。Move.aiのようにAIを活用して、ポーズから体の各関節の位置を予測しモーションを取得することができます。

  • Rokoko Studioとmocopiと連動して利用することも可能です。スーツの代わりに、mocopiを着装するだけで、モーションキャプチャーができます。



以上第六回モーションキャプチャレビューは「Rokoko」をピックアップしました!

次回は「Perception Neuron」をレビューします!お楽しみに!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?