大量のLEDを制御するシステムについて
『照明を制御する』にて一般的な照明制御の方法論は書いたので今回は大量のLEDを制御する方法とその機材について説明します。
LEDディスプレイ
機材は大きく分けるとLEDディスプレイとLED照明系に分かれます。
LEDディスプレイは文字通り大量のLEDをディスプレイとして扱うものです。
最近だとフレキシブルなタイプもあり、ある程度のRのついた形状も制作可能です。
また、透明(というかLED間に隙間があって向こう側がのぞける、網戸のようなもの)もあります。
LEDディスプレイの機材構成
LEDディスプレイは基本的に数センチから数十センチ角のモジュールを繋ぎ合わせて利用します。LEDのピッチが細かければ細かいほど解像度が上がりますが、値段も跳ね上がります。ピッチが倍になるとLEDの数が4倍になるので値段も4倍近くになります。
ディスプレイモジュール間はコネクタ付きのハーネスで接続します。
接続してできたディスプレイの集合体にコントローラユニットをつけて1つのディスプレイとして設定し、VGAやHDMIなどでもう一つのディスプレイとして認識させて利用します。
LED照明の機材
LEDディスプレイほどの解像度はありませんが、LEDテープとLEDテープを収めたLED照明もなかなかのピクセル数になります。
例えばこの映像で使われているチューブ状のLEDは1つに60個のLEDがついていて、60個個別にRGBの制御ができます。そのため1本で180チャンネル消費し、1ユニバース(DMX512チャンネル)に対して2本しか繋ぐことができません。
このチューブLEDはLEDディスプレイと異なり照明的な置き方や演出が可能です。
また、LEDテープも施工物に埋め込んだり建築物の中に埋め込んだりすることでLEDディスプレイにない演出を考えることができます。
LED照明の機材構成
LEDテープはSPIと言われる通信形式のものが殆どで、DMXで直接制御できるものがあまりありません。
DMX制御する場合、デコーダーと呼ばれるものが必要になります。これがDMX信号をSPI信号に変換してくれます。
また、DMXは電源供給はできないので電源を別途用意する必要があります。
しかしDMXでは制御できるピクセル数に限界があるため、Artnetから直接SPIに変換してくれるタイプの機材も多くあります。PixLiteシリーズなどが有名です。
(参考イメージ)
また、他にもDigidot社のC4はArtnet-DMX変換もArtnet-SPI変換もどちらもいけるので非常に便利です(ちょっとお高いですが・・・)。
(参考イメージ)
TIPS
C4の使い方は公式サイト以外だとqiitaやウシオライティングさんのブログに上がっています。
LED照明のほうはDMXタイプもSPIどちらもあります。ただし、コネクタが特殊形状のものが多く、DMXケーブルでのデイジーチェーンはできずに独自ケーブルでの数珠繋ぎとなるタイプが多い印象があります。
また、国内での取扱量およびバリエーションが乏しいため、Alibabaなどの海外サイトで購入することになると思います。
個人的に購入して試した1本17ドルのLEDバーの記事はこちら。
池田さんが試した1本35ドルのLEDバーの記事はこちらになります。
システム構成例
DMXで SPI接続のLED照明を制御するパターン例はこちらです。
LED照明は電源と信号をまとめて1本で給電しますが、あまりデイジーチェーンしすぎると電源が安定しなくなるので何本かごとに電源を追加する必要があります。またSPIはDMXと異なり、アドレスを指定することができません。繋いだ順番にチャンネルが自動的に割り振られます。
Pixliteなど直接ArtnetからSPIに変換する場合のパターンはこちらになります。
1ユニバースしか利用しない場合はスイッチングハブを除いて直接PCと繋いでしまってもかまいません。
DMXタイプのLED照明だとこんな感じになります。
DMXなのでスタートアドレスの設定が必要です。基本的にインターフェースがないので専用の器具を使って設定することが多いようです。また、通常のDMXと異なり電源供給もDMXの信号線で行います。
最後にLEDディスプレイを扱う場合。
LEDディスプレイも基本的にハーネスを使ってデイジーチェーンします。この図だと9個ディスプレイモジュールを繋いでいますが、これが実際に3x3でレイアウトされているか、1x9でレイアウトされているかは専用アプリケーションで設定してControlBoxに書き込むことになります。