【MocapForAll】モーションキャプチャーをテクニカルディレクターが一気にレビューしてみた:第五回 後編
前編ではMocapForAllを総合的な観点からレビューしました!
後編ではより詳細に見ていきます!
それではどうぞ!
※本記事の情報は全て2023年7月現在のものです。
精度
★★☆☆☆
やはり映像に映らない箇所が発生するポーズ(腕組み・あぐら・体育座りなど)は分かりやすく不安定になります。
またカメラに収まりきらない大胆な動きも同様の理由で精度の大きな低下がみられます。
ただそれ以外のきちんとカメラに収まっているポーズについては、簡単なキャプチャであれば必要十分な精度は得られているように感じます。
(人によって求めているクオリティは様々かとは思いますが)
検証環境:
iPhone13 Pro + DroidCam
iPhone + NDI HX Camera
PC(NVIDIIA GeForce RTX3070Ti Laptop)
今回検証した動きは以下となります。
バンザイ
腕組み
ボックスステップ
ジャンプ
床座り(あぐら)
床座り(体育座り)
床座り(正座)
椅子座り(立ちから座り、座りから立ちまで)
総合的に見て、リアルタイムものとしては使えるが映像用途として用いるには少々厳しい印象を受けます。
映像検出系によく見られるノイズ感もある程度確認出来ており、映像向けに修正するとしてもある程度の工数が要されそうです。
逆に言うとリアルタイム用途としてはある程度の精度には達しており、この設備の簡易さでこれが出来ると考えると十分な方も一定数いるのではないでしょうか。
カメラを増やすことで死角を補っての精度向上も図れるようなので、ベストなセットアップがありましたらコメントでも是非教えてください!
遅延
★★★☆☆
約50mS(約 0.05 秒 / 本環境の場合)
基本的にはカメラ映像を受け取るまでの遅延がそのまま反映されると思って良さそうです。
今回はDroidCamとNDI HX Cameraの2種類の無線Webカメラアプリを使用しましたが、ここの映像遅延に関してはDroidCamに軍配が上がりました。
UnityやUnrealEngineへリアルタイム出力する場合には、ここからさらに遅延が乗ってくるため、実際にはコンマ数秒程度の遅延が発生すると思った方が良いかと思われます。
手軽さ
★★★☆☆
必要機材自体は少なく済みますが、カメラ内に全身を収める必要がある関係で一定以上のスペースを要求されます。
また各カメラのキャリブレーションなどもあり、設営からモーションキャプチャ開始までには20分ほど見積もった方が良いかと思われます。
設営が既に済んでいる場合には5分程度で撮影を開始可能です。
必要設備:
Webカメラ(最低2台以上)
MocapForAllを動作させるマシン
ARマーカー
最低限必要なスペース:最低2m×2mの何も配置されていない空間。
(カメラ内に全身を収めることが出来ればOK)必要人数(アクター含め):1
セットアップにかかる時間(モーションキャプチャが可能になるまでの時間):約15分
スタジオキャリブレーション(カメラ位置をソフトウェアに認識させる工程):約5分
公式から詳細なマニュアルが提供されているため、初めてでも問題なくセットアップを進めることが可能です。
ただカメラの精度がそのままモーションキャプチャの精度に影響を与えるため、使用するWebカメラの選定はある程度念入りに行った方が良い結果を得られそうです。(広角・FPS・解像度等)
他ソフトとの連携
★★★★★
VMT・VMC・Unity・UnrealEngineなど、標準的に使用されそうなプロトコル・ソフトウェアには概ね対応しており、VRChatへの直接出力も対応しています。
また各種プラグインのマニュアルも充実しており、ほぼほぼ隙が無いと言えるのではないでしょうか。
公式対応ソフト:
各種プラグインは無料で提供されており、チュートリアル動画が提供されているものもあります。
価格
★★★★☆
購入価格:
MocapForAll:$99(23年7月現在 12,700円)
Webカメラ費用
ランニングコスト
無し
殆ど機材費がかからずシステムも買い切りなため、かなりの低価格で使用することが可能となっています。
サポートも公式Discordにて無償で受け付けており、この手厚さでランニングコストが発生しないのはかなり大きいのではないでしょうか。
以上第五回モーションキャプチャレビューは「MocapForAll」をピックアップしました!
次回は「Rokoko」をレビューします!どうぞお楽しみに!