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テクノロジー界のタモリ倶楽部(第4回 テクニカルディレクター公開総会)

前回の第3回BASSDRUM公開総会から、7ヶ月ほど。半年に一回は開催しようと思って運営しているこの公開総会ですが、日々のお仕事に忙殺されていたりするうちに少しずつ遅れを生じています。しかし、この秋も開催します。今週の金曜夜11月27日、19:00-です。

コロナウィルスの影響で初めてのオンライン開催となった前回の公開総会、すごく反応も良く、盛り上がったので、もしかしたらこのままオンラインでやっていくということで良いのではないか、なんていうふうにも考えたり、いやしかし、ウィルスの影響がなくなったら、フィジカルなイベントとして開催して、体験装置のデモンストレーションや、その場でプロダクトに触ってもらうようなこともできるよなあとも考えたり、この会の行く末についてもいろいろ考えてしまうところです。

そんな中、この公開総会はBASSDRUMによって運用されてきた知識と体験の共有会ですが、趣旨として、テクニカルディレクターが集まった営業機関でもあるBASSDRUMのPRイベントのようなものではなく、テクニカルディレクターという職業全体に寄与したいというところでやらせて頂いているものなので、今回から、名称を「テクニカルディレクター公開総会」に変更して開催していこうかと思います。

前回の開催は、非常事態宣言の真っ只中のゴールデンウィーク前。私が書かせて頂いた紹介文も、かなりの緊張感にあふれていて、否が応でもリモートに対応してデジタルトランスフォーメーションを突きつけられた世の中でサバイブしていくぞ感が出ていました。デジタル屋のやることがたくさんあるぞ! どんどん実現しないとやばいぞ! 図らずもそんな4月の空気を投影した前回公開総会の紹介文章であったように思います。通底するテーマは「夢のあるデジタルものづくり」である、などと書かせて頂いています。

実際のところ、そういう意味で技術屋さんたちの夢が漂う良いイベントになったのではないかと思います。そして当時の私は今より15kgくらい太っていました(上記リンク内の映像からご覧いただけます)。

じゃあそこから早くも7ヶ月経ったいま、今度はどんな空気感でこのイベントを開催するのかというと、たぶん、半年ちょい前に突きつけられた課題に対してみんながどんなことをやってきて、何を実現してきたのか、という答え合わせ的なところもあるのだろうと思いますが、前回も実はそうだったのですが、そもそもこの会を開催するにおいてそんなに固いことは考えたことはなくて、今も第3波が来ているくらいで全く予断を許さない状況ではあるものの、前回の時期がやはり非常事態の真っ只中相当な緊張感だったというのもあって、上記のように気負った文章を書いた私も私で、結構頑張っちゃっていたのだなと思います。「だ、である」調で書いてしまっているし。

そんなわけで、この「公開総会」、実のところはそんなに深刻なテーマを抱え込んでいるわけではなくって、通底している思いというのは「テクノロジー界のタモリ倶楽部でありたい」ということです。

テクニカルディレクター公開総会は、基本的にはテクニカルディレクター・技術者という同業者の周辺で繰り広げられているときに抽象的でときにマニアックな会話を公開し、自分たちの活動と世の中の接点をつくっていくということで、そこで話される内容は、原則的に同業者向けで、同業者以外の一般のオーディエンスに忖度したものにはなりません。

ただ、じゃあ、全然内容がわからないからといって、見る側は退屈なのかというと、決してそんなことはないと考えています。世の中には、「細かすぎてなんだかよくわからないけど見ていて面白いもの」というのは間違いなくあります。

たとえば、将棋です。もちろん、将棋に詳しい方、自分でも日々勉強されている方などは、将棋の中継を見ていて、「この手は思いつかなかった!」とか実際に感じて盛り上がると思うのですが、恐らく私も含めた多くの人が、プロの将棋を見ていて、どのへんがすごいのかよくわかりませんし、解説の棋士の方などが語っている内容もロクに理解ができません。「振り飛車破りが決まりましたね」とか言われても、そんなものが決まったのかどうかさっぱりわからない。

しかし、将棋を見るのはなんだか楽しいものです。なんで楽しいのかというと、専門的な人たちが専門的なことを楽しそうに、興奮して語っているさまというのは、それもまた見ていて楽しいものだからです。将棋の解説者の方々も、対局している棋士の方々も、皆さん、将棋というコンテンツを外界に届けるためにとても大きな愛を注いでいて、その愛が溢れています。

「月刊愛石」という超マニアックな雑誌があります。文字通り、「石」専門誌です。日本中の石大好き人間たちが愛読する、石好きによる石好きのための雑誌ですが、魔が差して目を通してみると、そこにはめくるめく石への愛とすごい熱量の「楽しそう」が渦巻いています。石に興味がなくても、「月刊愛石」は楽しめるんです。

それを体現しているのが「タモリ倶楽部」であろうと私は思います。深夜番組とはいえ、日中、メジャーなバラエティ番組などでわかりやすいテーマのお仕事をされているタモリさんをはじめとしたタレントさんが、「ちくわぶ激白『おでん出汁はもう飽きた』ちくわぶに色んなものを吸わせてみよう!」みたいな、恐ろしくニッチな企画や「今夜決定! 踏んで気持ちいい玉砂利ランキング」みたいな斜め上からのテーマで空耳アワーも含めた30分走り抜けてしまう。まさに、細かい、マニアックとも言える内容であっても、そこに愛があって楽しそうであれば見ていて楽しいものになる。それが「タモリ倶楽部」の魔法です。

「テクニカルディレクター公開総会」は、つまるところ、テクノロジーを生業とするテクノロジー愛好家によるテクノロジー愛の交歓の場=「テクノロジー界のタモリ倶楽部」でありたいと考えています。是非、皆様も「月刊愛石」をちょっと覗いてみるような気分で配信を視聴して、少しでも私たちのテクノロジー愛に共振して頂ければ幸甚です。

そんなわけで、今回もテクノロジー愛にあふれる4セッションをご用意しています。

まずは、エンターテインメント・テックの領域を拡張し続けるBACKSPACE Productions Inc.から清水基さんと比嘉了さん、バーチャルプロダクションの領域を求道するsync.dev岡田太一さん、そしてBASSDRUMからは、おなじみの機材王・高嶋一成さんと、昨今、すっかりXRの現場が増えている村山健さんと公文悠人さんという、6人ものXR機材好きが集まってXR機材のことをひたすら語り合う「XR機材のことだけをしゃべる40分間」。BASSDRUMのコミュニティマネージャーの磯崎さんが「人数多いと長くなるから人数絞って!」と企画段階で叫び続けていたにも関わらず、愛あればこそか、過去最大の6人によるXR男子会が実現してしまいました。

次が、暗号屋/BASSDRUMのブロックチェーン切り込み隊長、紫竹佑騎さんによる「今だから仮想通貨で資産運用する」。はからずもこの記事を書いている時点で何年ぶりかで1BTC、200万円を超えたビットコインに代表される仮想通貨、一時の盛り下がりを乗り越えて、再盛り上がりの時を迎えています。投機的な話は盛り上がったり盛り下がったりしますが、ここでは、「よりよい仮想通貨市場」がテーマになります。仮想通貨市場にとって重要な「流動性」と、そこに着目した新しいサービスの可能性について、紫竹さんが開発の成果を発表してくれます。BASSDRUMで紫竹さんとブロックチェーンのプロジェクトをご一緒して、すっかりブロックチェーン修行者になってしまった同じくBASSDRUMの鍜治屋敷圭昭さんが話を聞きます。

T-Martinさんは、プロフィールをハンドルネームにしていますが、私達テクニカルディレクターにとっては偉大なる先達、インターネット以前から商品開発・プラットフォーム開発に取り組まれてきた方です。なんていうか「生き字引」のお話が聞ける、ということになります。普段お聞きすることができない話を聞けること請け合いですが、何が良いって、事前にお話をお伺いしていても、現場やテクノロジーに対する愛が簡単に世代を超えてしまうようなところがあって、とにかく楽しいのです。T-Martinさんにお話しいただきたいテーマは多岐にわたるのですが、今回はそんな中でも、ゲーム機という「表現の場」とそこにある「技術的な都合」のせめぎ合い、そしてそこに生まれた文化、にテーマを絞って、もともとメーカー畑がキャリアの原点であるBASSDRUMの泉田隆介さんと森岡東洋志さんがお話をお伺いします。

最後は元R/GAクリエーティブテクノロジーディレクターの富永久美さんをお迎えしてのセッション。もともとニューヨークで活躍されていた富永さんとは、ちょこちょこ仲良くさせて頂いていたのですが、多くのプロジェクトに関わってきた富永さん、海外でのテクノロジストとしてのキャリアについてから、電子工作についての細かい話から、いろいろお聞きしたいことがあったのですが、打ち合わせの中で富永さんがとても大事にされている大きなテーマ、「なぜ女性のテクノロジストが少ないのか」という私たち技術者のコミュニティが抱える大きな問題について、私清水と、男ばかりのBASSDRUMのコミュニティマネージャーを務める磯崎智恵美さんが「女性テクノロジストの時代へ」というテーマでお話をお伺いします。

そんな4セッションですが、わかりやすい内容もあればわかりづらい内容もあるかと思います。しかし通底して言えるのは、たぶんどのセッションも、どのスピーカーも、愛を持って楽しそうに自分が好きなことを語るはずです。配信はYouTube LiveとFacebook Live両方で行います。YouTubeは、↓に貼ってあるものから直接ご覧いただけますが、忘れちゃうので是非、視聴登録・チャンネル登録をよろしくお願い致します。

スタートはブラックフライデー11/27、19:00からです。是非お楽しみください。