任せればうまくいく。そのためのプロジェクト環境づくり
こんにちは、poipoiです。
「テクニカルディレクター目線のプロジェクトマネージメント手法」
を考えてみる記事。
今回はプロフェッショナル達に能力を発揮してもらうための環境づくりのおはなし。
マイクロマネジメントをしない
以前の投稿でも書いたように、私が関わるプロジェクトではさまざまな領域の専門家、つまりプロフェッショナル達と一緒にチームを組んで制作を進めることが多いです。
それぞれがそれぞれの領域のプロであり、当たり前ですが私自身よりもずっとその領域での専門的知識が深い方たちなわけです。
つまり、下手なアドバイスをこちらからするよりも、それぞれのやり方やペースで好きに作ってもらう方がクオリティが上がるわけです。
逆にマイクロマネジメントのように細かいタスクをこちらでコントロールするようなやり方をしてしまうと生産性がものすごく下がってしまうので避けるべきだと感じています。
したがってPMとして一番力を入れるべきことは、
彼らが水を得た魚のように自由にうごくことができる環境を整備することだと考えています。
環境を作る2つのポイント
さて、前述したように基本方針は「プロ達に好きに動いてもらう」ことですが、そういった状況を作るために主に2つの事柄について意識して環境を整える必要があります。
それは「役割分担」と「情報共有」です。
役割分担
それぞれの担当領域が役割ごとにキッチリ分かれていると、役割と役割の隙間に誰もキャッチアップしない領域ができてしまい、そこに取りこぼしや思わぬ落とし穴が生まれてしまう場合があります。
したがって、なるべく隣り合った専門領域の方同士がお互いのカバー範囲をオーバーラップして補うような役割分担を目指すべきです。
このツイートでいう、「ドイツ人の仕事」を目指したい!
そういった状況をつくるためには、チームメンバー同士のコミュニケーションが密に取れるよう、それぞれのメンバーの素性とコミュニケーションパスをあらかじめチーム全体に明示することが必要です。
例えば、キックオフミーティングなどを開いて担当同士を引き合わせることなども重要です。
私は最近では「プロジェクト相関図」みたいなものを書いてメンバに共有するような取り組みをしています。
プロジェクト相関図の例
こういうのをSlackアイコンとかから画像をもってきて作ったりしてます
これを作るで、誰がどんな役割でこのプロジェクトに入っているのか。また、なにか困った事や相談したい事が出来た際に、誰になにをコミュニケーションすれば良いか、が明確になります。
またもちろんですが、必要に応じてPMが間にはいってうまく調整していくことも重要です。
情報共有
制作を進める上で必要になる情報がいちいち誰かに確認しないと手に入らないような環境だと、その都度制作の手を止めなければならず、制作者にストレスを与えることになります。
したがって、必要な情報が欲しいタイミングですぐに手に入る環境を作る必要があります。
また、すべての情報がすべてのメンバにオープンになっている環境が望ましいです。
というのも、プロジェクト上の問題などをチーム全体に共有することで、本来想定していたコミュニケーションパスの外側から問題解決の方法が提示されることなどがよくあるからです。
例えば私が実際に体験したことだと、Webサイトのリニューアル案件で数百件近い数の画像素材をバナー化しなければならず、ディレクターとデザイナが途方に暮れていたところ、それを知ったエンジニアがスクリプトをサクッとつくって自動化できてしまった、というような事がありました。
このように情報がすべてのメンバにオープンになっている事で総力戦でプロジェクトに挑む事が可能です。
また、情報には「フロー情報」と「ストック情報」があり、それぞれの違いを意識してうまくハンドリングできるように環境を作る必要があります。
フロー情報
フロー情報とは、日々流れていく情報のことです。
電話や口頭などでやりとりする情報などがそれにあたりますが、内容の振り返りをしやすくする事や他メンバーの目に触れるようにするためにもチャットツールを使用する事が望ましいです。
前述のように情報が全メンバにオープンになるよう、Slack などのチャットツールを使う場合には全チャンネルをオープンにしておくことが大事です。
ただし、その分自分に関係のない情報が増えることになるので、適切な通知設定やメンションの飛ばし方のルール化などをして、作業中に気を取られて制作が進まないような事態を避けるように設計します。
(ここらへんの詳細はまた後日書こうかなと思います。)
ストック情報
ストック情報とは、フロー情報とは逆で貯めていく情報のことです。
プロジェクトの全体像を掴んだり細かいすり合わせ内容などを備忘録的に保存しておき、誰もが必要な時に参照できるようにすることで余計なコミュニケーションを発生させることなくプロジェクトが進むようにします。
ドライブ型のツール(Google Drive、Drop Box など)と
Wiki型のツール(Notion、Backlogなどプロジェクト管理ツールのWiki機能)
があり両者を併用することが一般的ですが、そのなかでもWikiツールの扱い方が重要です。
ただ情報をデータ保管庫的に無造作に貯めていくだけでは、情報を探すだけで一苦労でプロジェクト全体にそのツールを使う機運が生まれません。
ページ構成や見栄えなどをきっちり設計し、情報の取得にストレスがなくなるようにメンテナンスすることで、メンバ全員がそこを参照することが当たり前になる環境をつくります。
(ここらへんについても詳細は後日書こうかなと思っています。)
長くなってしまいましたが、こういった環境づくりに意識を向けて設計することによってそれぞれの専門家達が自由に制作を進めることができ、プロジェクト進行やひいては成果物のクオリティを上げることに寄与することができます。
ということで、今回はこの辺で。