BASSDRUMが台湾総会をやる理由
明日となってしまいますが、BASSDRUMでは、昨年秋の本格稼働以来毎月開催しているBASSDRUM総会の台湾バージョンを開催します。このBASSDRUM総会は基本的にはクローズドな形でコミュニティ内で情報共有するものなのですが、2月にはそれを一般公開してちゃんとしたイベントにする、ということで、「公開総会」という形でオープンなイベントとして開催、いろいろな方にご参加頂きました。
BASSDRUMは、会社でありつつ、テクニカルディレクターが集まるコミュニティでもあります。そしてBASSDRUMは、会社として考えると恐らくなかなか珍しい特徴を持っています。今のところ、BASSDRUMというコミュニティの言い出しっぺである私、清水が会社等記上の「社長」ということにはなっていますが、その「社長」だけが創業の段階から海外に住んでいる、というのはなかなかに珍しい状況です。
これは行きがかり上そうなっているところもありますし、狙ってやっているところでもあります。
社長だけが海外に住んでいる、という会社といえば、PC用ソフトウェアの老舗である、ソースネクストがあります。ソースネクストの松田社長は、シリコンバレーに住みながら、日本の上場企業であるソースネクストを経営されています。松田社長のインタビューなどを読んでいると、そこにはいろんな理由がありますが、基本的にそこには、社長が切り込み隊長的に海外でビジネスを切り開いていく、というスタンスがあると思います。
BASSDRUMも同様で、清水は「社長」というエグゼクティブなポジションというよりはコミュニティの発起人、ということではあるのですが、やはり「切り開く・広げる係」を担当しているということになるのではないかと思います。
このフォーメーションを創業段階からとっている、というのは非常に重要なことです。これはつまり、テクニカルディレクター・コレクティブとして、最初の段階から(本当に)世界でやっていくことを前提としてBASSDRUMを設計しているということでもあります。
私たちが行っているテクニカルディレクションという仕事の可能性や価値は、日本のみを考えてもこれからしっかりと確立されるべきもので、私たちはまずはそこを目指してはいます。
しかし、考える人と手を動かす人の間でコミュニケーションをつくる、技術を理解するコミュニケーターであり、アイデアを理解し、設計に翻訳できるエンジニアであるテクニカルディレクターという仕事は、もちろん日本だけのものではなく、技術に国境はありません。私たちは世界中のプロジェクトで、世界中のクリエイターや技術者とコラボレーションし、ベース・ドラムとして世界中のフロントマンを支えるリズムセクションを担当することができるはずです。
さらに、日本のクリエイティブ業界には、徐々に「出口」が少なくなっています。クライアント企業の意思決定プロセスの変化もあり、高齢化の影響も受けながら、つくり手が何かをアウトプットする機会は少しずつ減ってきています。しかし、BASSDRUMのみならず、日本にはとても優秀で多様なテクニカルディレクションのリソースがあり、彼らの仕事の「出口」が少なくなっていることは不幸であり、勿体のないことです。
しかし、日本を一歩出れば、今最も勢いがあるといえる中国をはじめとして、いろいろな規模のいろいろな「出口」、すなわちアウトプットのチャンスというものがあります。そして既に、BASSDRUMはアメリカでも中国でも仕事をしています。そのたびに、現地の技術者やクリエイティブとの連携が発生しますし、そこには、私たちのコミュニティの輪を広げるチャンスが存在します。BASSDRUMは、テクニカルディレクターが集まった職能コミュニティです。コミュニティの規模は、コミュニティとしての価値に比例し、規模の拡大はよりエキサイティングなものづくりに関与できるチャンスの拡大につながります。
台湾には、創業当初からのパートナーもおり、プロジェクトで台湾のプロダクションチームと連携することも多く、特にハードウェアの分野においてはとても洗練された開発文化を持っています。
BASSDRUMは、さらにコミュニティを外に広げていくために、文字通り外に出ていき、肉弾でコミュニティを広げていきます。まずは、明日の台湾総会をスタートとして、積極的に海外の技術者とつながり、中に入っていきたいと思います。総会の模様は、このnoteにてレポートをさせて頂きます。