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私たちの仕事をどう説明すればいいのか+新しい質問窓口

早いもので、noteを始めて1年5ヶ月くらいになる。もともと、自分が運営している会社&コミュニティであるBASSDRUM( https://bassdrum.org/ )の日本語発信用に使おう、使うんだったらnoteの仕組みとか癖をちゃんと理解しよう、そのためにとりあえず個人日記を書いてみよう、個人日記書くんだったら1年書いてみよう、なんていっていろいろ書いていたら、当初の目的であった仕事・BASSDRUMに関する記事をろくすっぽ書かず、全然関係ないどうでも良い文章を書きなぐるアカウントになってしまって、そうこうしているうちにたぶんnoteのおすすめユーザーとかにしてもらっちゃって、今や57,000フォロワーだ。インフルエンサーだ。すごい。全然♡もつかないし、エンゲージメント低いのでまあ別にアレなのだけれど。

1年間日記を書いたり、ワンオペ育児日記書いたり、住んでいるニューヨークが緊急事態になっているうちにコロナウィルスに罹患して体験を書いたり、なんというか仕事がらみのことを書けない身体になりつつあったのだが、もう1年5ヶ月経ってしまったので、いい加減本来の目的である仕事関係の発信をやっていかなければと思い、書き始めてみる。いよいよnoteに仕事のことをちゃんと書くのだ。

とはいえ、私のアカウントのフォロワーはもはや私の仕事と関係ないところで読んでいただいている方も多いので、仕事がらみのことだからと言って、そういった方々を置いていくようなことを書くのはきっと良くない。私の仕事はそこそこ専門性の高い仕事ではあるが、一方で、専門家ではない人に理解をしてもらうことがとても大事な仕事だからだ。

私がやっている仕事は「テクニカル・ディレクター」という仕事だ。で、その「テクニカル・ディレクター」という人たちを集めた会社&コミュニティをつくっている。それがBASSDRUMだ。これは、同じ職業の人が集まっている集まりだ。

世の中にはいろんな形の会社がある。

分業していろんな持ち場を各々の持ち場のプロが担当してみんなで協力して仕事を運営していくような会社もある。例えて言うなら「ワンピース」の「麦わらの海賊団」は、いろんなプロが集まっている「組織」だ。ナミは航海士でチョッパーは医者だ。経理がいて人事がいて、営業がいて、広報がいて、開発がいて・・・なんていう会社は「麦わらの海賊団」型だ。

対して、同じ職業の人が集まっているような会社もある。「弁護士事務所」なんかがそうだろう。もちろんそういうところには事務の担当者とかもいるが、弁護士事務所っていうのは弁護士という同じ職業の人たちがたくさん集まっている「組織」だ。

で、私が所属している(立ち上げた人でもある)BASSDRUMという会社&コミュニティは、後者の組織で、同じ職業の人たち、すなわち「テクニカル・ディレクター」さんばっかり集めた組織だ。社員としてやっている人もいれば、フリーランスとして登録している人もいるし、他の会社で働きながら参加している人もいるような感じだが、18人の「テクニカル・ディレクター」が所属している。ここに集まっている人たちは、自慢じゃないけど、間違いなく日本有数の「テクニカル・ディレクター」の皆さんで、言い出しっぺである私からすると、「よく集まったなこんなすごい人たち」としか言いようがないすごいラインナップだ。正直、やや「引く」レベルですごい。どうするんだこんなに集めてしまって。

そんなBASSDRUMのことを書いては見たものの、BASSDRUMが抱える最大にして最強の問題がある。それは何か、というと、

「テクニカル・ディレクター」が何なのか全然わかんない、ということだ。

これは本当に説明するのが難しい。この仕事をやってきてかれこれ14年くらいになるが、この説明の難しさとの戦いが私の仕事人生だったとも言える。正直、やっている業務はすごく多岐に渡る。多岐に渡るがゆえに「これがうちらの仕事!」というのをバシッと言えないのが困ったところでもある。

しかし、何しろこの「テクニカル・ディレクター」が何なのかわかってもらえないと、「あ、なるほど! テクニカル・ディレクター便利じゃん! お金払って雇おうぜ!」とならないので、「テクニカル・ディレクター」が何なのか簡単にバシッと説明するのはとても重要。死活問題なのだ。

バシッと説明できる職業がうらやましい。たとえば「医者」だ。もうこれは医者だ。一言でユーザー感覚で言うならば、「病気治してくれる人」だ。厳密には病気じゃない人の健康も管理したりするわけなのでWikipedia的に言うと「医療および保健指導を司る医療従事者」なんだが、いま即時に医者のことを良く知らない人に医者というのがどういうものかを説明しろ、と言われたら、「病気治してくれる人」で良いだろう。それが一番わかりやすい。

この「病気治してくれる人」から学ぶことができるのは、わかりやすく説明するためには多少完全な説明になっていなくて雑であっても、実際の職業の機能をガッと言うのが一番わかりやすいということだ。

世の中にはわかりやすく説明できる仕事がたくさんある。「本屋」っつったら「本を売っている人」だ。「プログラマー」は「プログラム書く人」。わかりやすい。「歌手」は、「歌ってお金もらう人」。「力士」は「相撲とってる人」。

じゃあ、わかりにくい仕事ってなんだろう。たとえば「経営コンサルタント」。これはなかなかわかりにくい。「経営コンサルタントとは、企業などの経営についてコンサルティングを行うことを業とする者の名前である。」って書いてあるけどこれはまたわかりにくい。何がわかりにくいって「コンサルティング」がわかんない。コンサルティングってなんなんだ。

しかし「経営コンサルタント」は尊い職業だ。かくいう私も経営コンサルタントのお世話になっている。超お世話になっている。

なぜ経営コンサルタントのお世話にならなくてはいけないのかというと、私は会社の責任者なので、便宜上「経営」をやらないといけないのだが、私は何十年も経営をやってきたわけではないので、全然「経営の技術」を知らないのだ。会社の経営っていうものにはいろんな技術がある。細かくは割愛するがお金周りもそうだし、人を雇うにしてもいろいろ技術がある。経営の素人だけど経営をしないといけないので、経営の技術を知っている人にアドバイスをもらって経営をやるわけだ。

だから、「経営コンサルタント」というのは私にとっては「経営のアドバイスをしてくれる経営の技術の達人」だ。達人! 私が経営なんてやってられるのは達人のおかげだ。

で、「テクニカル・ディレクター」は相変わらずわかりにくいのだが、「経営コンサルタント」が「経営のアドバイスをしてくれる経営の技術の達人」であるならば、そういう「受け手側からわかりやすく説明する」ノリでどうにか説明できないものか。この文章を書きながら考えている。

ただ、1つだけはっきりしているのは「テクニカル・ディレクター」は世の中に必要不可欠な、絶対に必要な職業だということだ。それは間違いない。じゃあなんでそれが間違いないのかから考えてみる。

世の中にはデジタルテクノロジーでできているものがすごくたくさんある。身近なものでいうとスマートフォン・アプリなんかはあれはデジタルテクノロジーだ。アプリそのものもそうだし、たとえば「Twitter」みたいなサービス・仕組みそのものもデジタルテクノロジーだ。ゲームなんかもそう。イベントとかで展示されている体験装置なんかもそうだし、デパートとかに置いてあるようなタッチパネルのフロアガイドなんかもそうだ。ウェブサイトも、企業が使っているような大規模なシステムも、遊園地のアトラクションも、スマートフォンそのものも、デジタルテクノロジーでできている。これから、デジタルテクノロジーでできているものはまだまだ増えるだろう。

アプリが一番想像しやすいからアプリを例に取ると、アプリっていうのは規模にもよるが、複数の人が集まってチームで作ったりするものだ。チームで何かつくるっていう場合、そこにはリーダーがいないと収拾がつかない。何をどうやってつくるか、方針を決めて、予算やスケジュールの範囲で良いものができるように指示を出す。そういう人がいなければチームに人が集まってもみんなバラバラに活動してぐっちゃぐちゃになってしまうだろう。

「大人数でやるもの」といったら例えば野球だ。野球というものには「監督」がいる。野球の監督が、試合の方針や戦略、人選なんかを決めて現場を仕切るということになる。

あらゆるデジタルテクノロジーを使ったものづくりにも、ある程度の規模以上の仕事においては「監督」が必要だ。ゲーム業界にもシステム業界にもそういう「監督」的な立場の人がいて、それぞれ違う名前で呼ばれていたりするのも話をややこしくしてしまうのだが、総じて、テクノロジーを使ったものづくりの監督は、技術の知識がある人でなければできない。野球選手じゃないと野球の監督にはなれない。だから、「デジタルテクノロジーの監督」は技術者である必要がある。それが私たち「テクニカル・ディレクター」だ。

いろんな意見を生むと思うが、私が自分の母親に自分がやっている仕事を最大限簡潔に誤解を恐れずに説明するならば、

「技術がわかる、デジタルものづくりの監督」

これが「テクニカル・ディレクター」ということなのかなと思う。そんなわけで、「技術がわかる、デジタルものづくりの監督」である「テクニカル・ディレクター」にまつわる雑記をなるべく、別の方向でたくさん増えてしまった自分のフォロワーの方々を置いていかないように書いていこうと思う。気分によって、結構専門的になっちゃう回もあるかもしれないし、適当に短く済ます日もあるかもしれないが、ご理解頂ければ幸いである。

そして、こんな時期でわりとみんなが在宅で仕事に対応している状況なので、BASSDRUMでは、BASSDRUMのテクニカルディレクターが随時相談に対応できるチャット窓口をつくってみた。普段は有料で提供しているサービスではあるが、しばらく実験的に、いろんなデジタルものづくりの相談をリアルタイムにお受けしてお役に立てればと思う。

東京にもニューヨークにも対応できるメンバーがいるので、あまりお待たせせずにご返信できるような気がする。


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