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プロトタイピングについて #1 概要

プロトタイピングについて相談されることが多いので、プロトタイピングについて概要、やり方、進め方などを纏めてみました。

『プロトタイピングを頼まれたんだけど何を作れば良いのか分からない』

『プロトタイピングの予算/スケジュールを取りたいがメリットや制作物をうまく説明できない』

『プロトタイピングの進め方が分からない』

といった方々の助けになれば幸いです。
今回は主に概要についてまとめて行きます。

プロトタイピングとは?

そもそも『プロトタイピング』とは何か。
プロトタイピングは『狭義』の意味では『プロトタイプを制作する行為』を指します。
では、『プロトタイプ』とは何か。
試作、モックなどとも言い、要するに最終製品ではないモノの事です。
『なーんだ、要するに試作して欲しいってことか!』と思った貴方、試作は試作なんですが、一般的に言われる試作よりも『プロトタイピング』の場合、考慮しなければならない事があります。

先ほど『狭義』と書きましたが、あえて『試作』ではなく『プロトタイピング』と呼称する場合、『プロトタイピングを中心に据えたプロジェクト進行(サービス/製品開発)を行なっている』という前提が含まれています。その結果、『今までよく言われていた試作』と異なる『試作』も『プロトタイピング』という言葉には含まれています。

『プロトタイピング』はスタンス的には『最終製品ではないが、最終製品を(部分的に)体験/評価可能なもの』を目指す試作になります。逆に言ってしまうと最終製品の想定している体験が可能であれば必ずしも技術的/原理的に最終製品と同じ技術/製法で制作する必要がない試作が含まれます

これが通常の試作と大きく異なる点であり、通常のメーカではなく、筆者の在籍しているテクニカルに強いデザイン会社に仕事が来る理由です。
まだ無いサービス/プロダクトのある世界の体験の設計図を書き、それを製品よりも一足先に体験可能にし、ユーザの視点から検証を行っていく、これがプロトタイピング的な手法になります。UX系の手法もプロトタイピング的手法の一部、と言えるでしょう。

プロトタイピングのメリット / デメリット

プロトタイピングおよびプロトタイピング的手法でのサービス/事業開発は何が良いのでしょう。

まず、多様な角度からの検証が可能、という点が挙げられます。いきなり本番の製品を作るのではなく、プロトタイピングすることで、複数の視点からの現時点の想定したサービス/プロダクトの評価が早い段階で行えます。

例えば『見た目のレスポンスは早いけど意外と動作音が気になる』といった5感の異なる感覚からの評価、『自分にはちょうど良いサイズだが女の人にとっては大きすぎるようだ』などの他人の評価、『そもそもこっちの客層に寄せた方がこのサービスうまく行く気がする』などの評価のスコープを超えた評価などです。

また、体験設計に紐づいた要求仕様や実装技術について検証することが可能になります。筆者の会社にお声がけいただく場合、ここについて期待されている場合も多くあります。

デメリットはシンプルにお金見る側/作る側の教育が必要な事です。
純粋なサービス/プロダクトの制作以外の制作物が増えるため、コストは増加します。が、改善点が早期発見可能なため、差し戻しや無駄になる作業が減る、という意味ではコストは単純に計算はできないと思います。


見る側の教育、というのはプロトタイプを完全な一般人目線で評価できるように作ろうとすると多大なコストがかかるためで、基本的に『何か』に絞ってプロトタイプは開発することになります(任天堂のARMSやスプラトゥーンのプロトタイプが有名ですね)。『評価したい部分以外は制作していないので、目を瞑って評価する』というコンテキストを理解した上で体験=評価してもらう必要があります。

作る側の教育、というのは先ほどの試作とプロトタイプの違いの話です。評価したいところ=体験したいところ=作って欲しいところは何処なのか、という話をしっかり共有しないと『プロトタイプの予算で1つだけ、最終製品を作ってくれ』と勘違いされかねません。

次回以降はプロトタイプの種類と効果について書いていこうと思います。

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あざす!
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技術相談役。 テクニカルディレクター・コレクティブ『BASSDRUM』メンバー。 大阪芸術大学・京都芸術大学非常勤講師。 博士後期課程満期退学の工学修士。 目の研究→メーカで研究開発→クリエイティブ系のデザイン会社→プロトタイプ開発のスタートアップ→充電期間→今ここ

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