海外出張:失敗しないための渡航準備ガイド 【テクニカルディレクター編】
各国の入国制限が緩和され、ベースドラムのテクニカルディレクターたちもコロナ禍前のような海外出張が少しずつ増えてきました。今回は、現場作業が必要な海外出張について、事前に準備しておくべきことや知っていると便利なことなど、私たちがこれまでためてきた知見をご紹介していきます。
スーツケースを過信しない
世界情勢の影響で、特に欧州への渡航は長時間のフライトや異なる航空会社間の乗り換えを余儀なくされることが多くなりました。長時間の移動と複数回の乗り換えは、スーツケースに大きな負荷をかけ、キャスターが故障する原因にもなります。荷造り前にキャスターの状態を確認することはもちろん、壊れた場合の対処法をあらかじめ考えておくことも重要です。
トートバッグや大きめのリュックは、スーツケースが使用不能になった時の代替手段として役立つだけでなく、普段使いもできるので併せて持っていくのがオススメです。
リモワのスーツケースレンタルは意外とお手頃
高品質で知られる独リモワのスーツケース。軽量で丈夫、且つ見た目も洗練されているので、出張に際して購入を考える方も多いでしょう。しかし、出張の内容や滞在期間によって便利なサイズは異なりますし、なんといってもリモワ社のスーツケースはそこそこ高価。そんな時は、ぜひレンタルをチェックしてみてください。LサイズやLLサイズでも10日間1万円程度で借りられるショップもあります。
洋服は素晴らしい緩衝材
現場での作業が必要な場合、日本から精密機器を持ち込むことも少なくありません。プチプチを使えればそれに越したことはないですが、スーツケースに収められる荷物の量には限度があります。そんな時は、自分の洋服で精密機器を保護し、緩衝材として使用してみてください。
クッションケースが便利
100均でよく売られている、ポワポワのクッションケース。様々なサイズがあるので、ちょっとした物や工具・ケーブルなどをまとめて入れたりと何かと便利です。領収書を整理して保管できる透明のファスナー付きビニールケースも幾つか持っていくと、現地で重宝すること間違いなしです。
道は平坦ではない
東京のような舗装された平坦な道に慣れていると、久しぶりの海外で石畳の多さやガタガタに並んだブロックに驚かされることもあります。そんな時、スーツケースに全てを詰め込んでいると、短距離の移動もままらなくなる場合があります。あらかじめ荷重配分を計画的に行い、スーツケースとリュックなどに分けてパッキングするようにしましょう。
荷物はなくなる(こともある)
頻繁に海外出張に行く方なら一度は経験があるかもしれない、荷物の紛失。「この機材のどちらかひとつがあれば最悪どうにかなるので、残りは現地調達で」という物があれば、パッキングの際にチームメンバーと分散しておきましょう。また、出発前に保険の加入もお忘れなく。保険会社によって期限は異なりますが、ネット保険なら自宅を出発する直前でも間に合うものもありますし、価格もお手頃。念には念を入れて、メインのスーツケースの中にAirTagをひとつ忍ばせておくのも手です。
危険物の持ち込みに注意
現場作業が必要な出張の際に、悪気なくやりそうになるのが危険物の機内持ち込みです。出発直前まで作業をしていると、「これも持っていった方がいいかな…」とドライバーやカッターを普段使いのバッグに入れてしまうことがあります。しかし、出発時の手荷物検査で没収されてしまうので、預け忘れには十分注意しましょう。
ドライバーを持っていく
とはいえ、現場にあるとやはり便利なのがドライバー。精密ドライバーセットとプラスドライバー2番を預け荷物に入れて持っていくのがオススメです。
電気を使うならテスターは必須
海外の現場では電気トラブルは珍しくなく、電圧の低下もしばしば。そんな時、テスターがあれば問題をすぐに調べることができるので非常に便利です。おすすめは、定番の共立電気計器「20000A クランプ付き」です。
変圧器は基本不要
なんとなくあった方が安心かなと考えがちな変圧器。しかし、海外の現場では電圧の違う機材の使用はそもそも避けた方がよく、PCも海外対応が多いため、そうなると100Vで使う機材はほぼありません。(使う機材によっては必要になることもあるので、あくまでベースドラム 的見解です)
マッキーと養生テープは常にペアで
国内の現場でもマッキーと養生テープはマストアイテムですが、それは海外でも変わりません。なんなら使用頻度は多いくらいです。
養生テープに名前を書いて荷物に貼ったり、「Back in 10 mins」「DON'T TOUCH THIS!!!!」など何かを伝える機会は意外と多いので、ぜひ幾つかペアで持っていきましょう。ちなみに、ベースドラム オススメの養生テープは、光洋化学の「カットエース」です。
重量に注意
いよいよ出発!というタイミングに空港で起こり得るのが、まさかの重量オーバーです。機材を入れたスーツケースに自分の荷物も詰め込むと、予想以上の重量になっていることは珍しくありません。荷物を預ける際に慌てないよう、空港内の計量可能なスポットで事前のチェックをお忘れなく。(成田空港はこのリンク、羽田第3ターミナルは3F出発ロビーのヤマトカウンターの隣にあります)
また、吊り下げ式の計りがあれば、自宅や帰国前のホテルでも簡単に重さを測ることができます。
スーツケースにベルトをして損はない
重量のあるスーツケースの場合、運搬中に鍵が壊れ、パカっと開いた状態で現地の空港に届くこともあり得ますし、受け取りの際によく似たスーツケースとの取り違いが起こらないとも言えません。ベルトをしておけば、スーツケースが閉まらなくなった際に一時的に対処できるだけでなく、取り違いの予防にもなります。
現地のホームセンターを調べておく
どんなに事前準備をしても、現地に入って気づくことは多いものです。出発前に現場近くのホームセンターやDIYショップ的な場所を探しておくと、必要なものを効率よく手に入れることができます。
ということで、今回はベースドラム内でも海外出張経験がダントツで豊富なテクニカルディレクター・高嶋一成のアドバイスを中心にお送りしました。
最後に、パスポートもお忘れなく!
技術に関する様々な情報をお届けする、ベースドラムのYouTube番組「BASSDRUM LIVE」では、海外出張の注意点を動画でも配信しています。こちらで紹介できなかった内容もありますので、ぜひ併せてご覧ください。